夫が小学生の頃の思い出は、私とは比較できないほど輝いていて色褪せない。
友達想いの穏やかな友人たち、
個性的な隣人、
優しい教師。
どれをとっても素敵だ。
今回は夫が小学3年生の時に担任だった教師の話。
中山きんに君という芸人
本題に入る前にタイトルにある、中山きんに君という芸人を紹介する。
引用元:中山きんに君公式Twitter
「おい、俺の筋肉っ」と自らの筋肉に問いかけ、鍛え上げた筋肉をネタとする芸人さん。
ネタを始めた瞬間にオチまでが完全に見えてしまう超ストレート芸人。
5歳時の発想。
オチが分かっているのにニヤついてしまう。
筋肉料理研究家マグマ中山
おすすめ動画を貼っておきます。
マグマスパゲッティ→マグマ串カツで続けて観てもらうと楽しめると思います。
上の動画でも流れている名曲である Bon Jovi - It’s My Lifeのイントロ
べェン!ベンっ! ティレレ レェ~ェ~ レェ~ン♪
イントロが流れただけでポージングをとるきんに君が脳内再生される。
罪深ききんに君。
はい、では本題に。
3年A組シュウゾウ先生
この話は夫が小学3生年だった頃を再現した話です。
当時の担任は、いわゆる熱血教師だった。
とにかくバイタリティーに満ち溢れていてどんなことにも果敢にチャレンジしていく。
明るく、面白く、そして熱い存在。
クラスのみんなから慕われていた。
長渕剛が好きでギターで弾き語りなんかしていた。
あるとき、クラスでジャイアン的な存在な子がクラスの子に執拗にちょっかいをかけていた。
先生はいじめに発展しそうな状態をすぐさま察知すると、その時算数かなんかの授業だったと思うけどお構いなしに叱っていく。
いじめをしたジャイアンだけを叱るのではなく、クラス全員を叱る。
何故いじめられている子を黙ってみてるんだと。
結局2時間もの間叱られ続けた。
それからはジャイアンがちょっかいをかけようとしても、皆がそういうことはダメなんだと止めるようになり、ジャイアンも自分が悪いということを自覚していった。そんなジャイアンを咎めたりもせずみんなが受け止めた。
そこからクラス全体の絆が一気に深くなった。
熱い。
この熱さ誰かに似ている。
うん。松岡修三だ。
とにかく熱いのでシュウゾウ先生にしよう。
そんなシュウゾウ先生にはチャームポイントがある。
それは髪型だ。
年齢も30代後半。前髪も薄さを襟足の長さでカバーする、今でいう落武者系男子である。
しかしシュウゾウ先生はその髪型すらも
と、3年生を受持っているからこそできる旬な自虐モノマネを、堂々たる態度で披露する。大勢の子ども達を目の前に、失敗を恐れない。
そんなシュウゾウ先生は授業の中でも図工に特に力を入れていた。
毎朝10分間、クロッキー帳に絵を描く。
「朝の10分間クロッキー」という名の、絵が嫌いな子どもには苦痛であろう時間を取り入れていた。
夫の絵はヘタうまであるがとても味がある。
シュウゾウ先生はそんな夫の絵を偉く気に入り、よく誉められていたそうです。
ある図工の授業で「身近で起こった楽しいこと」を題材に水彩画を描くことになった。
当時夫の家ではインコを飼っていた。
種類はセキセイインコ。名前はちょろ松。
愛嬌があり手を近づけるとすぐに乗りうつってくれるのでとても可愛がっていた。
【これがチョロマツ】
ちょろ松を愛する夫は、腕にちょろ松を乗せ遊んでいる場面を絵に描いてみよう、と決意した。
下書きを描いている最中、シュウゾウ先生が夫の絵を見にやってきた。
先生に絵の場面の説明をすると
と言われた。
小学生3年ですので「躍動感?」となっているのに気付いた先生は、
「躍動感とは生き生きした感じだよ。そういう気持ちで描いてみなさい。」
と言った。どうすればと少し悩んでいたとき、何かが夫の頭の中で沸き上がってきた。
心の奥底から声が聞こえてきた
夫は消しゴムで腕の部分を消し当初の1.5倍くらいの大きさの腕にして描いてみた。
腕の太さと躍動感は比例している。目の前にいる大好きなインコの絵はおざなりにし、躍動感という言葉を全力で腕にぶつけた。
しかし夫も少しばかり違和感を感じていた。
腕だけ太い小学生がインコと戯れているのである。
いや、腕がインコと戯れている。
言葉の暴力、いや腕の暴力。暴力が彼を支配しようとしている。
彼の心の奥底では葛藤があった。
やっぱりやめようかと思い始めていた。
するとシュウゾウ先生がやってきて腕だけ太い絵をみてこう言った。
妖怪もっと爺の誕生である。
その言葉を聞いたとき彼は心の中で思いっきりこう叫んだ。
迷いは吹き飛ぶ。
消しゴムをつかみとり再び腕の部分を消し去った。
どこからともなく脳内から音楽が流れてくる。
べェン!ベンっ! ティレレ レェ~ェ~ レェ~ン♪
べェン!ベンっ! ティレレ レェ~ェ~ レェ~ン♪
いぃずぃのそぉーんふぉらぶるぅぅーきんはーりぃっ♪
自らの左腕を見つめグッと力を入れポージングをする。浮かび上がった筋肉の筋を見ながら描いていく。
その大きさはなんと当初の2倍はあるであろう太さの腕を描いていた。
現実にここまでバルグアップさせるのは並大抵の努力では不可能であろう。丹念に積み重ねられた努力、それを継続させる精神力のなせる技。
あの伝説のボディービルダーマッスル北村もこういう言葉を残している。
”心で念ずることは肉体に多かれ少なかれ現ずるのである。信じることのできる人間は幸いである。”
我を忘れがむしゃらに描いていた。
そしてそれは遂に完成する。
腕に渾身の力を込め、浮きでた血管と筋という名の荒れ果てた大地の上を一匹のかよわきインコがどこか楽しそうに戯れている絵が。荒々しくアンバランスで滑稽だ。
もう一度整理しておこう。
この絵は小学3年生の少年が腕にインコを乗せ戯れている場面である。
その絵をみてシュウゾウ先生は
と自分が描いたかのように誉めてくれたのを覚えているそうです。
そしてその腕だけ中山きんに君になった絵はコンクールで金賞を受賞したのでした。
夫からシュウゾウ先生へのメッセージ
時は経ち自分たちも成長し同級生の結婚式のビデオレターのため大好きだったシュウゾウ先生の元に出演のお願いをしに行きました。すると突然の訪問にも関わらず快く引き受けてくださり、ギターで弾き語りしていただきました。その曲は3年生の終業式の後に弾いてくれた思い出の曲「長渕剛の乾杯」でした。
髪型は完全なる落武者になっていたけど、当時のままの歌声を披露してくれたのを大人になったみんなが披露宴で見たときに、懐かしすぎて皆が笑いながら涙ぐんでいたのを覚えています。
シュウゾウ先生には色々なことを学ばせていただいたことに感謝しています。
夫より
現在は定年退職している。
夫の好きなシュウゾウ先生と中山きんに君、松岡修三さんを夢のマッスルドッキングしてみました。
まとめ
熱い先生は小学生の心に深く深く刻まれた。
ボン・ジョビの中の、ジョン・ボン・ジョビがカッコよかった。
筋肉モリモリの画像を見過ぎてお腹いっぱいです。
筋肉嫌いではないです、むしろ好きです大好きですえぇ。
なので最近の筋肉ブームに歓喜しております。
おしまい
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