きままなあさこ

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現役教習指導員が語る高齢者講習の実態と認知症の恐さについて

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皆さんこんにちは

いつもおふざけな事ばかり書いておりますが、今回は宣伝のため真面目な記事を書きます。ふざけてばかりだと怒られてしまいそうなので、超絶真面目です。

 

 

実は最近ライターの手尾広遠さんから、本の表紙を描いて欲しいという依頼がありました。ご自身の母親が認知症を患い、介護生活の中で起きた日々の出来事、そして認知症の現状を知っていただきたく、マニュアルの様なものとして使っていただきたいとの思いで本を出版したいとのことでした。

 

私はただのお絵描きブロガーですが考え、恐縮ですがお仕事をさせていただきました。

 

仕事をお受けさせていただいた理由としては、私が看護師、夫は自動車教習所で仕事をしており高齢者と触れ合うことが多く、認知症についても色々考えさせられる体験が多いことからお受けさせていただきました。

イラストはお任せしたいとのことでしたので認知症の方をイメージし作成させていただきました。

 

こちらが手尾広遠さんの本になります。↓

電子書籍版

書籍版

ちなみに書籍版では裏表紙があるのでこのような絵を描かせていただきました。

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好きな様に描かせていただいて楽しくお仕事させていただきました。手尾さんありがとうございます。

 

認知症については夫の職場でかなり印象的なエピソードを聞いたので後で紹介いたします。

 

最近、高齢者の交通事故が非常に増加しています。ニュースで聞かない日が無いくらいの現状で、最近では記憶に新しいのが池袋の暴走事故でしょう。とても痛ましく悲惨な事故でした。未然に防げるような事故もあるのではないかと考えさせられる時があります。

 

そして今の法律は何かが起きてからじゃないと機能しない部分が多く、池袋の事故に関しては何か起きてるのに機能していないような状況ではないかと感じています。

 

何かが起きてからでは遅いんじゃないですか?

 

現状の高齢者の免許制度についてお話させていただきます。

 

高齢者講習について

 

現在の高齢者講習の仕組みについて説明いたします。既にご存知の方や仕組みにそこまで興味の無い方は飛ばしてお読み下さい。

 

免許更新時に70歳以上になる高齢者は高齢者講習を受講するようになっています。

 

免許の更新期間満了日(誕生日1か月後)から6カ月前にハガキで通知され、公安委員会か委託された教習所で予約を取り受講していただきます。

 

現状では75歳未満75歳以上では講習の受講内容に違いがあります。

 

75歳未満の講習は合理化講習(2時間)の講習を受ければ免許更新することが出来ます。

 

75歳以上の方は講習を受ける前に認知機能検査を受けていただき、その検査結果を元に高齢者講習を受講するという流れになります。

この認知機能検査というものは認知症を探るような検査ではなく、認知機能(記憶力、判断力)等が低下しているかどうかを30分程度の簡単な検査になります。

 

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 画像が見えにくくてすみません。

 

 

簡潔に言えば、検査結果が第3分類と第2分類の人は講習を受ければ免許更新可能です。

第1分類の人は医師の診断を受け、認知症ではないと判断されれば講習をうけ免許更新可能。認知症と判定された場合は免許取り消し等となる。

 

 

 

 

教習所で起きた認知症にまつわるエピソード

 

日本は少子超高齢社会のため、自動車教習所業界もその影響をもろに受けております。高齢者の増加により、高齢者講習が業務を圧迫している状態です。

 

そんなある日のこと、トゥルルルルルルン。一本の電話がかかってきました。

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その時内勤をしていた夫が電話に出ると、名前はT中K吉(仮名)という方から「ハガキが来たので予約をしたい」と電話がありました。

 

データで確認すると◯月◯日に予約をとっている。日付を忘れたのかなと思い、「◯月◯日に予約取ってますよ」と案内すると「そうだったかぁ」と思い出したようでもう一度案内をして電話を切りました。

 

そうすると30分くらい後に受付の子が電話に出て

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と言う会話が聞こえてきた。

もしやと思ったけどT中と言う名字の人は結構いるし違う人かなとその時はあまり気にとめていませんでした。

 

それから1時間くらい後、電話に出ると

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なんだか聞き覚えのあるお声。

 

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これはデジャブなのか?

K吉さんは、はじめましてこんにちはと言わんばかりに話しかけてくるのである。少し怖さを覚えました。

 

もう一度しっかり案内してK吉さんも分かったと電話を切りました。

 

その後すぐ受付の子に1時間前くらいに電話に出たT中さんのことを聞いてみると、やはりT中K吉さんであることが分かりました。これはちょっと大変なのでは・・と皆で話している最中にトゥルルルルルルンと電話がかかってきた。

 

さっきと違う受付の子が電話を取り、そして少々お持ちくださいと受話器を下げてこう言った。

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ボワボワと悪寒に近い感覚が体中を駆け巡った。

 

この悪寒のもう一つの原因はK吉さんはちゃんと受け答えすることが出来るのである。こちらの会話も理解できているし、ちゃんとした意思を持って返答することが出来る。そんな人がエンドレスに電話をかけてくる。それが余計に怖さを増幅させた。

 

ちなみにこの日はその後もう一回電話がかかってきて計5回かかってきたことになる。

 

受付の子がT中K吉さんの検査の日取りを確認すると後24日後という事が分かった。

 

夫はこう言ったそうです。

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海外ドラマ24(トゥエンティフォー)ですね。

 

皆がクスっと笑った後にふと現実に戻り、24では24時間だがこちらは後24日間もあることに戦々恐々とした。

そしてその日事務所の電話器にT中K吉さんの電話番号を電話帳登録しました。

 

 

次の日

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翌日

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 翌々日20190820005104  

 ・・・

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この状況を何とか打破したいと家族構成なども確認すると、今は奥さんと二人暮らし。子どもは都会に出ており、奥さんに電話をしてみるが奥さんは控え目でいわゆる夫をたてる様な昭和の女性なタイプ。

 

話をしても「心配症で」とか「あまり強く言うと叱られますから」と解決の糸口が見えない。

 

警察にも相談すると、なんと警察にも免許更新の事で毎日の様に電話を掛けているといった有様。介入もしようがない。

 

もうこうなったら検査を受けてもらって納得してもらうしかない。

 

そしてその日が来るのを忍耐強く待つことにした。

 

慣れというのは怖いもので全くかかってこない日もあったのだが、そのときは事務員の子も

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と言うような状態になっていた。

ほぼ連日全く同じことを初めましてと言わんばかりに繰り返される。

 

多い日で8回。こんな状況いくら優秀な捜査員である24のジャックバウアーでも「本当にすまないと思っている」と、お手上げ状態であろう。

 

 

そして検査1日前

この長きにわたる戦いに終止符を打つべく、今度はこちらから明日検査があることを伝える電話をした。

 

 

 

 

 

当日

 

K吉さんはやって来ました。

皆が待ちわびていました。受付時の受け答えもしっかりしていてほんとにあのK吉さんなのかと思うくらいしっかりしていました。

 

 

検査結果はハッキリと言うのはあれなんでぼかしますが、やはり想像通りの結果になり正直ホッとし、これでこの件は終わりかと思われました。

※結果は当日ではなく基本的に10日前後でハガキで通知されます。

 

 

しかし次の日、

 

 

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検査を受けたことをすっかり忘れてまた検査の予約の電話をしてきました。

 

さすがにこれではらちが明かないということで県外の娘さんを呼んで話し合うことにした。

さすがにこのような状態で運転させるわけにはいかなのではという事で話し合いの結果、免許を返納させるという方向で話がすすめられました。

 

 

かなり大変だったようですが無事返納となったようです。

 

 

ちなみにそれから5日間ほどは電話が続きましたが、それ以降はかかってくることは無くこの件はようやく終わりを告げました。

 

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現状の高齢者の免許制度の問題点 

現段階では免許を返納するには医師の診断か本人の意思、とても強い家族の説得が無ければ難しい。今回みたいな明らかな場合でもです。

K吉さんは認知症の中核症状の一つ、見当識障害(日、時間が分からない)があったのでしょう。

 

問題なのはそのような状況が発覚した段階でも、すぐに運転を止める事は出来ない事と、受け答えもしっかりできるわけだから検査で仮に点数が取れてしまうとどうすることも出来ない。49点以上取れば免許更新が出来てしまう。

 

現状の悲惨な高齢者事故を減少させるためには、

例えば法を改善するとして

  • 明らかな異常状態が認められた場合に第三者からの通報等からでも医師の診断を受けてもらえるようにする。
  • この際すべての70歳以上の方は免許更新時に事前に医師に心身共に診断を受けてから免許を更新する。

など、思い切った制度の見直しが必要なのではと夫は言っていました。

高齢者の方には厳しい意見だと思われるかもしれませんが、もう一度言います。

 

何かが起こってからでは遅いんです。

 

そして認知症についてもっと理解をする必要があると思います。K吉さんの場合は免許の件はこれで解決できたとしてもこれからがとても大変でしょう。

 

もし自分の家族がこのような認知症になってしまったとき自分は何をすればいいのか?

 

試行錯誤しながら介護していくしかないのです。

いつ身に降りかかるか分からない認知症と言う病気についてとても考えさせられる出来事でした。

身内に認知症の方がいる方や認知症がどういうものなのかを知りたい方は、是非手尾広遠さんの書籍をお読みいただいたらと思います。

 

電子書籍版

書籍版

 

 

以上、真面目でした。

 

おしまい

 

 

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